ミスを避けるために必要なこと
調剤ミスは患者さんに健康被害を引き起こし薬剤師への信頼が失われるだけでなく、私たち薬剤師にとっても今までの仕事への自信を喪失する引き金になりかねません。
よって、調剤ミスを起こさないようにするのが理想です。
ここでは、調剤薬局での仕事において、ミスを避けるためにどのようなことに注意するべきかを見ていきます。
間違いは起こるという認識が必要
まず、一つだけ留意しなければならない点があります。
それは、薬剤師は生身の人間であることです。
“To err is human.“という英語のことわざにあるように、人間は誰しもミスを犯すものです。
つまり調剤ミスを対策によって減らすことはできても、ゼロにすることはできません。
ミスが起こらないようにする対策に加えて、ミスが起こった時の健康被害を軽くするための対策をとることが大切です。
調剤ミスが発生する理由
公益社団法人 日本医療機能評価機構が実施している「薬局ヒヤリハット事例収集・分析事業」の平成25年7〜12月の報告によれば、調剤ミスの発生要因で一番多いものは「確認を怠った」というものです。
つまりは、確認をしっかり行うだけでもミスは減少するということです。
薬局によっては調剤と監査・投薬は別の薬剤師が行う「ダブルチェック体制」を採用している場合もありますが、薬剤師の人数が少ない施設においては調剤後に振り返って自分でもう一度確認することが重要です。
調剤ミスの種類では1番目に「計量間違い」、2番目に「薬剤取違え」、3番目に「規格・剤形間違い」と続きます。
具体的な間違いの要因
計量間違いにおいて最も多い原因は、1シートに何錠入っているかの勘違いです。1シート10錠、14錠、21個が一般的ですが、お薬によっては6錠や12錠だったりと勘違いを引き起こしやすいものがあります。
自施設に在庫しているお薬で、間違いやすい包装単位は覚えておくべきです。
薬剤の取違えにおいては、商品名や外観が似ていることによる取違いが多いため、自施設におけるそれらの組み合わせを把握する必要があります。
名称類似品においては、各施設でお薬の組み合わせの一覧表を作成して注意喚起していることが多いです。
外観類似品で問題となるのは、お薬の外箱のデザインを企業のロゴやイメージで統一している製薬企業があり、同メーカーのお薬の外観がそっくりになってしまうということです。
これらは調剤時に注意すると同時に、今後は製薬企業にも協力をお願いする必要があります。
規格、剤形間違いにおいては、自施設で在庫しているお薬の規格・剤形にはどんなものがあるか把握する必要があります。
さらに自施設には在庫していなくても、世の中に流通している規格・剤形まで把握できればミスはより減少することでしょう。
医療機関との連携も考えるべき
最後に、重大な健康被害を引き起こす危険なミスが想定される場合はクリニックの医師や病院の薬剤部に相談してみましょう。
医療機関によっては、処方や採用薬を変更するといった対策を考慮してくれる場合もあります。
ミス防止はすべて患者さんのためです。あらゆる職種が協力して患者さんに害を及ぼさないようにすることが大切です。
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